さらば湘南電車

丸の内に所用あって東海道線を待っていたんだけど、列車接近放送の直後に彼方を見遣ると見慣れたオレンジと緑の電車が。ただ今日ばかりはちと感傷的になってしまった。列車接近放送の後に駅員の放送が付加された。「113系湘南電車でまいります。」今日、40年近くの間活躍した113系電車は、東海道線京口から引退します。
東京駅を降りて、ふと気になって先頭車両を見に行くと、そこにはカメラを構えるたくさんの人。鉄道ヲタらしくいかついカメラを構える者だけでなく、携帯のカメラをかざす女子高校生やサラリーマンも。余計に胸がしゅんとなってしまった。
鉄道車両の線区引退は、娘。の卒業に似ていると思う。長く続いてゆく線路の上を、次々と色々な電車が走ってゆく。ある古い電車は事故で廃車になり、また別の電車は地方に転属したりする。またある電車は新車に囲まれながらも長く走り続けるんだろう。そうして少しずつ新たな車両に引き継がれてゆく。
113系を見つめる人々の目は「よく頑張ったね、お疲れ様。」と語りかけているように見えた。ライトの光が、涙のようだった。そして彼は古い車体を左右に揺らしながら、今頃最後の爆走を見せている頃だろう。これだけ「全うして」線区を引退するのは、幸せなことだ。
いつか、紺野が娘。を卒業するときも、そんな卒業になれば良いなと思った。