いざ大阪

「いざ鎌倉」鎌倉時代の武士は、幕府、ひいては将軍に何か一大事が起こったとき、私財を投げうってでも馬を駆って鎌倉にはせ参じたという。北から、東から、西から・・・現代に蘇った鎌倉武士どもは、馬のかわりに新幹線や飛行機を駆使して大阪に駆けつけた。最愛の人のキモチを確かめるために。
3公演、観て来た。30昼はSSMのカメラが入ったせいか、台本に無いイレギュラーな部分が撤廃されていて、ますます冷ややかというか、味気なく感じちゃって、正直辛くて何度も途中退場しようと思ってしまった。けれど、途中で逃げ出したいと思ったのは、俺だけじゃねぇ、あいつも同じなんだ・・・そう思うと、俺はもうひたすらこの場で彼女と一緒に踊るしかないな、と思った。ことある毎に泣き出してイベントを中断に追い込んできた某工房の子供たちとは、違うんだから。もちろんあの子たちだって、いずれ紺野のような強い女になって欲しいと願っている。
その辛いキモチも、夜公演で完全に吹き飛んだ。昨日の夜から続けて3公演観てきて、初めて紺野の心からの笑顔を見ることができたような、そんな気がした。あくまで直感だけどね。踏ん切りってのは、そう簡単につけれるものじゃない。彼女も、この土日で涙を流しながら突っ走ってきて、やっと最後まで走りぬけようという希望を見出したんだと思う。そのことが確認できただけで、俺は「来てよかった」と心から思えた。
卒業の理由は、文面どおりじゃないのかもしれない。いろいろとブラックな現実が裏に潜んでいるかもしれない。けど、そんなこと、今はどうでもいい。今わかっているのは、彼女が7月23日に卒業してしまうことと、5月7日の誕生日公演がマコとともに最後の娘。コンになってしまったこと。ならば、その限られた日々を全力で駆け抜けていくことこそが、今俺が考えるべき全てなんだと思う。
昨日駆けつけた鎌倉武士どもは、もう決意はついたみたいだ。そして、紺野も小川もね。うじうじしてる時間なんて無ぇ。3ヶ月という時間は思ってるよりも短いんだから。